AI漫画のキャラクターはどう作る?佐倉ひなとメクリの初期案から完成まで

AIでキャラクター画像を生成したとき、
「きれいだけれど、少しまとまりすぎているかも⋯」
と感じたことはありませんか?
最初の一枚が想像以上に整っていると、「もう、このままでいいかもしれない」と思いますよね。
でも、きれいにできた画像が、そのまま物語の中で動き、何度も会いたくなるキャラクターになるとは限りません。
『そのニュース、つまり?』の佐倉ひなとメクリも、一度の画像生成で完成したキャラクターではありません。
では、何から決めれば、物語の中で動くキャラクターになるのでしょうか?
最初に考えたのは、見た目ではなく二人の役割でした。ニュースを見て「結局、何が変わったの?」と戸惑う主人公と、見出しの奥にある意味を一緒に探すガイド役。二人をダブル主人公のように動かすニュース漫画を作りたい、というところから制作が始まりました。
この記事では、最初に作った複数のデザイン案から、現在の佐倉ひなとメクリへたどり着くまでに、何を残し、何を変えたのかを紹介していきますね。
見た目より先に、主人公とガイド役を決めた
ニュースを読んでいて、情報がさっと流れてしまい、あとから何も記憶に残っていないことはないでしょうか?
それは、ニュースの言葉を追っているだけで、自分ごととして捉えられていないときに起こります。
シリーズの主人公である佐倉ひなは、モノハワークスで漫画を企画する人物です。さまざまなニュースに反応しますが、すべてを知っている専門家ではありません。読者と同じ入口から驚き、「それって、私たちの仕事にどう関係するの?」と問いかけます。
一方のメクリは、ニュースを一方的に解説する先生ではなく、ひなの見方を切り替えるガイド役です。ひなが見出しや専門用語に振り回されたとき、情報を分けたり、比喩に置き換えたりして、本当に見るべき場所へ連れ戻します。
二人の出発点は、「詳しい人と聞き役」ではなく、「ニュースへ飛び込む主人公と、その意味を一緒にめくる相棒」でした。
役割を先に決めたことで、デザイン案を見るときも「一番きれいな絵はどれか」ではなく、「この役割を長く演じられるのはどの姿か」で判断できるようになりました。
佐倉ひなは、最初の3方向から始まった
役割が決まっても、最初から一つの見た目に絞れるわけではありませんよね。まずは、ひなの最初の3案を見比べていきましょう。
- A: 付箋の多い企画ノートを持つ、親しみやすい企画担当
- B: タブレットと新聞を持つ、知的なニュース編集者
- C: ペンや制作道具を持つ、クリエイター寄りの漫画企画担当

どの案も、仕事をする人物としては悪くありません。ただ、並べて見てみると、少しきれいにまとまりすぎていないでしょうか? ニュースを見つけた瞬間に前のめりになる好奇心や、少し慌ててしまう親しみやすさが、まだ十分に見えませんでした。
ひなに必要だったのは、整った知的さだけではなく、「気になる」と思ったら身体が先に動くような勢いでした。
そこで次の比較では、髪の動き、前傾姿勢、表情の大きさ、仕事着の活動性を強めました。
前のめりな好奇心が見えるB案へ絞った
では、ひなの「前のめりな好奇心」を、見た目でどう表せばよいのでしょうか? 次に作った、髪型や服装、姿勢を変えた4つの比較案を見ていきますね。

この中では、B案の高めにまとめた髪、深い青緑の短いジャケット、タブレットを持って前へ出る姿が、ひなの性格に最も合っていました。
そこから、肩に重くかからない短めの半アップ、淡いインナー、濃色のパンツ、スニーカーへ整理しました。付箋、細いペン、タブレットは、漫画企画担当としての仕事と、情報が増えるほど混乱するひなの演技の両方に使えるため残しています。
最終デザインは、B案をそのまま採用したのではなく、「仕事感」「親しみ」「前のめりな動き」が同時に見える形へ調整したものです。
メクリは、付箋キャラクターからページの妖精へ
ガイド役と聞くと、人型の先生や解説者を思い浮かべるかもしれません。けれど、それでは少し予定調和に見えませんか?
ひなが付箋を使ってニュースを整理する人物だったため、ガイド役は当初、付箋のキャラクターを本命に考えていました。
最初の画像では、次の3案を比較しています。
- A: 角をめくると情報が現れる付箋型マスコット
- B: 赤ペンと眼鏡を持つ小さな編集者
- C: ニュース紙面のマントを広げるページの妖精

付箋型は「めくる」という名前と機能が直感的につながります。一方で、長期連載の相棒としてひなと会話し、表情や身体の動きでツッコミを入れるには、少し演技の幅が狭く感じました。
C案の小さな男の子は、ニュースそのものをまとったような紙のマントを広げられます。ひなとの大きさの対比も生まれ、ページをめくる動作をシリーズの演出として使える点にも可能性がありました。
そこでメクリは、付箋型の「情報をめくる機能」と、C案の「紙面をまとって物語を動かす姿」を組み合わせて決めました。
頭部は脱着する帽子ではなく、紙が折れたような「紙髪」です。マントには記事、図表、グラフが入り、必要なときに広げることで情報の構造を目に見える形にします。
絵を決めた後に、二人の性格を作り直した
見た目が決まれば、キャラクターは完成なのでしょうか? 実際には、キャラクターシートができても、それだけで人物として完成するわけではありません。ここからは、絵を決めた後に二人の性格を作り直した過程を見ていきますね。
第1話の台詞を考える中で、「この言葉を、本当にひなが言うだろうか」という問題が出てきました。
当初のひなには、AIモデルを比較したり、専門的な名前を自然に出したりする台詞がありました。しかし、それでは一般読者の疑問を代弁する主人公という役割から離れてしまいます。
そこで、ひなを「知識がある人」ではなく「知りたい気持ちが強い人」と定めました。ニュースには敏感で、可能性を見つけると前のめりになりますが、少しおっちょこちょいで、理解する前に期待が膨らむこともあります。
メクリは知識をひけらかす先生ではなく、情報の構造を見るのが得意な相棒です。少し辛口で、ひなに対してツンデレのような態度を見せますが、最後には必ず読者とひなが自分で考えられる場所へ導きます。
外見と性格を別々に決めるのではなく、「この姿なら、どんな言葉を話し、どう動くか」まで結びつけることで、二人が物語の中で動き始めました。
二人の基本的な会話は、ひながニュースへ飛び込み、少し早とちりし、メクリが見方を切り替え、最後にひなが自分の言葉で読者へ届け直す流れです。この関係性があるため、AIだけでなく、金融、環境、働き方など、異なるニュースでも同じ二人で物語を作れます。
完成した佐倉ひなとメクリ
ここまで外見と性格を何度も行き来して、ようやく現在の佐倉ひなとメクリが完成しました。


完成版に残っているのは、最初から正解だった一案ではなく、複数の案を比べる中で見つけた、それぞれの役割に必要な要素です。
完成した二人が登場する漫画は、GPT-6 Astraを5ページ漫画にした理由|『そのニュース、つまり?』第1話でご覧いただけます。
AI漫画でも、最後に必要なのは人の判断
画像生成AIで候補をたくさん出せるなら、キャラクター作りも簡単なのか?
確かに、短い時間で複数の案を出し、比較の幅を広げられることは、AIを使う大きな利点です。
ただし、候補が増えても、どの案を選ぶかは自動では決まりません。読者にどんな印象を持ってほしいのか。どの人物なら、その台詞を自然に言えるのか。長く続けたときに、どんな動きや関係性が生まれるのか。判断するためには、作品の目的とキャラクターの役割が必要です。
AI漫画のキャラクター作りで大切なのは、一度で理想の画像を出すことではなく、役割を基準に候補を比べ、選んだ理由を言葉にすることです。
MONOHA WORKSでは、画像を作るだけでなく、伝えたい内容、想定する読者、登場人物の役割、台詞、コマの流れまで一緒に整理しながら漫画を制作しています。
「伝えたい内容はあるけれど、どんなキャラクターや物語にすればよいか分からない」。そんな段階で止まっていませんか? まだ形になっていないところからでも、一緒に伝え方を整理できます。
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