AI漫画の作り方・実践編|キャラクター設計からネーム・視線誘導・画像生成まで

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以前、MONOHA WORKSでは「AI漫画は、まず1枚の絵から始めていい」という初心者向けの記事を公開しました。

それから約5か月。画像生成AIだけでなく、企画や情報整理を支援するAIエージェントも進化し、現在はキャラクター設計、ネーム、コマ割り、画像生成の仕様、修正内容まで、一連の制作工程として整理しやすくなってきました。

一方で、AIがきれいなイラストを作れるようになっても、それだけで読みやすい漫画になるわけではありません。

誰に何を伝えるのか。どの順番で情報を見せるのか。登場人物がどんな言葉を話し、読者の感情をどう動かすのか。

そこには、今も人による設計と判断が必要です。

この記事では、『そのニュース、つまり?』第1話「GPT-6 Astra、何が変わった?」を制作した実例をもとに、複数ページのAI漫画を完成させるまでの流れを、初心者の方にも分かる言葉で紹介します。

まず1枚の絵や4コマ漫画から試したい方は、先にAI漫画の作り方【初心者入門】|絵が描けなくても1枚から始める方法をご覧ください。

5か月前から、AI漫画の作り方はどう変わったか

以前の記事では、キャラクター画像を作り、短いストーリーを考え、コマごとの絵を生成して、Canvaなどで漫画の形に整える方法を紹介しました。この方法は、AI漫画を体験する最初の一歩として、現在も有効です。

一方、画像生成AIの性能が向上したことで、現在はコマごとに絵を作るだけでなく、ページ単位で漫画を生成する選択肢も現実的になってきました。今回の制作でも、AI漫画の作り方はコマ単位からページ単位へと変わっています。

ただし、ページ単位で生成できるようになったからといって、完成したページをそのまま使えるわけではありません。ページごとの構図や台詞を決める前に企画と設計を行い、生成後には内容を確認し、必要な部分を修正する工程が欠かせません。

AIとの対話で企画を深め、決まったキャラクター設定や漫画のルールをファイルへ残し、ページごとの構図や台詞を仕様として整理します。修正が入ったときも、変える部分と残す部分を分けて管理しました。

つまり、AIにその場で絵をお願いするだけでなく、企画、設計、生成、確認、修正を一つの制作工程としてつなぐ方法です。

AIがページ単位で漫画を生成できるようになったからこそ、「何を作るか」「何を正しいとするか」を人が先に決める必要があります。生成されたページを確認し、漫画として伝わる形へ整える判断も、制作の重要な一部です。

題材は「GPT-6 Astra」のニュース

第1話を企画していた時期に、2026年9月3日にリリースされた「GPT-6 Astra」という新しいAIのニュースが話題になっていました。そこで、このニュースを『そのニュース、つまり?』の最初の題材に選びました。

新しいAIのニュースには、モデル名、性能を示すスコア、専門用語が数多く登場します。しかし、それらをそのまま並べても、一般の読者には「また新しいAIが出たらしい」で終わってしまうかもしれません。

そこで第1話では、読者の認識を次のように変えることを、5ページの到達点にしました。

「また新しいAIが出た」
から
「では、自分の仕事では何を任せられるのか」

ニュースを短く要約するだけでなく、読者自身の仕事や暮らしへ問いをつなぐ。これを決めたことで、各ページで何を見せるかが整理しやすくなりました。

最初に「読者の認識変化」を決める

複数ページの漫画では、絵を作る前に、読者の出発点と到達点を決めます。

第1話では、次の順番を設計しました。

  1. また新しいGPTが出た。結局、何が変わったのか。
  2. 見るべきなのは、バージョン名やスコアだけではない。
  3. 初めての環境で、どう試し、反応から次の行動を変えるかを見る。
  4. 任せられる仕事が増えても、全部おまかせにはしない。
  5. 自分の仕事では、何を任せるのかを考える。

この流れがあることで、漫画は単なる機能紹介ではなく、読者の理解が一段ずつ進む物語になります。

キャラクターを説明の道具にしない

ニュース解説漫画では、詳しい人物が専門知識を説明し、もう一人が相づちを打つ構成になりがちです。分かりやすい一方で、登場人物が情報を運ぶだけの存在になることもあります。

そこで今回は、台詞を考える前に、主人公の佐倉ひなと案内役メクリの性格や役割を決めました。

ひなはAIの専門家ではありません。「知識がある人」というより、知りたい気持ちが強い人です。ニュースに勢いよく反応し、早く理解しようとして少し先走る。そのため、「結局、何ができるの?」という疑問が、説明のために用意された台詞ではなく、ひならしい言葉になります。

メクリは、答えを一方的に教える先生ではありません。専門語に迷ったひなを、比喩や問いによって本筋へ戻すガイド役です。二人の違いがあることで、難しい内容にも会話の温度と軽い笑いが生まれます。

キャラクターを設計するときは、外見だけでなく、欲望、弱点、知識量、口調、過去、相手との関係まで考えます。そうすることで、「この人物が本当に言いそうな台詞か」を判断できるようになります。

AI漫画がなぜ説明や情報発信と相性がよいのかは、AI漫画はなぜ伝わりやすいのか?でも紹介しています。

ネームでは「フリとウケ」をつなぐ

キャラクターとページ全体の流れが決まったら、次はネームを作ります。ネームとは、コマ割り、人物の位置、台詞、画角などを簡単な絵や文章で決める、漫画の設計図です。

ここで大切にしたのが、コマとコマの間の「フリとウケ」です。

前のコマで出した疑問や動作が、次のコマの表情、答え、反転、比喩、オチにつながるようにします。

第1話の1ページ目では、ひなが専門語に圧倒されたあと、キーボードを打つ手元だけの静かなコマを入れました。その次のコマでは、「でも、きっと世界が変わるんだよね」と期待が大きく跳ねます。

静かなフリがあるから、その後の早とちりが際立ちます。そして、直後に登場するメクリの「落ち着け、ひな」がウケとなり、読者の気持ちを本題へ戻します。

漫画は、情報を正しい順に並べるだけでなく、前の情報が次の反応を生むように組み立てることが大切です。

コマ割りと視線誘導を設計する

ネームでは、どんな大きさのコマをどこへ配置するかも決めます。大きなコマは印象を強くし、細いコマや余白のあるコマは、時間の間や静けさを作ります。

本作は、日本の漫画と同じく、右から左、上から下へ読む形式です。そのため、コマをその順番に並べるだけでなく、吹き出し、人物の目線、身体の向き、手、小道具、効果線まで、次に見てほしい場所へ向けました。

たとえば、右側の吹き出しから人物の顔へ入り、その人物の目線の先に重要な画面を置き、最後に左下の次のコマへ抜けるようにします。

視線誘導は、単なる飾りではありません。読者が迷わず情報を追い、驚き、混乱、期待、納得といった感情の変化を受け取るための設計です。

YAMLで「漫画ページの設計書」を作る

ネームを承認した後は、ページごとの内容をYAMLという形式に整理しました。

YAMLとは?
YAMLは、Markdownとは異なる、決められた内容を箇条書きのように整理して記録する形式です。
項目名と内容の関係が明確なため、人にもAIにも理解しやすい特徴があります。
漫画制作では、キャラクター、表情、構図、台詞、吹き出しの位置などを項目ごとに整理し、AIへ渡す「漫画ページの設計書」として利用しています。ページの構成や指示を明確に伝えられるため、AIを使った設計や画像生成に役立ちます。
通常の文章でまとめるよりも、情報を項目ごとに分けて整理できるため、人間が内容を確認したり、後から修正したりする際にも分かりやすくなります。

たとえば、次のように書きます。

character: 佐倉ひな
expression: 驚いた表情
camera: 肩越し
dialogue: またバージョン新しくなったの?

実際の制作では、これにコマの位置、背景、吹き出し、視線誘導、変更してはいけない条件なども加えます。

YAMLを使う目的は、難しい技術を使うことではありません。決めた内容を、AIと人間が同じように確認できる形へ整理することです。

仕様を残しておくと、修正時に「表情だけ変える」「台詞は維持する」「人物の位置は動かさない」といった区別がしやすくなります。

画像生成後の修正も制作工程に含める

最初に出た画像を、そのまま完成品とは考えません。

実際の制作では、台詞の文字、表情、手の形、人物の位置、吹き出しの話者、ページ間の色合いなどを確認しました。1ページ目のタイトルが人物の顔に近すぎたため、サイズと位置を調整したこともあります。

修正を重ねるほど、別の部分が元へ戻ったり、キャラクターの印象が変わったりすることがあります。そのため、変更点だけでなく、維持する要素も明記します。

AI漫画では、生成する力と同じくらい、違和感を発見し、何をどう直すか判断する編集力が重要です。

AIと人間、それぞれが担当すること

今回、AIはアイデアの展開、文章整理、画像生成、仕様作成、修正版の作成などを支援しました。

一方で、次の判断は人間が担当しています。

  • 誰に何を伝えるのか
  • どの情報を残し、どの専門語を削るのか
  • その台詞を本当にキャラクターが言うのか
  • コマ間のフリとウケが成立しているか
  • 読者の視線をどこへ導くのか
  • 最後にどんな認識を残すのか

AIによって制作速度は上げられます。しかし、速く作ること自体が作品の目的ではありません。

AIで早く描く。人が、伝わる順番を設計する。

これが、今回の制作を通じて改めて大切だと感じたことです。

完成した5ページ漫画

この工程で制作したのが、『そのニュース、つまり?』第1話「GPT-6 Astra、何が変わった?」です。

ニュースに飛びつく佐倉ひなと、少し辛口な案内役メクリが、専門語の奥にある「見るべき変化」を5ページで探します。

完成漫画と制作意図は、GPT-6 Astraを5ページ漫画にした理由|『そのニュース、つまり?』第1話でご覧いただけます。

まとめ:AI漫画は「生成」から「設計」へ

AIによって、絵を描くことへのハードルは大きく下がりました。そして今は、AIと相談しながら、複数ページの漫画を設計し、修正し、完成まで管理することも可能になりつつあります。

ただし、AIに任せれば自動的に伝わる漫画が完成するわけではありません。

読者を決め、伝える内容を選び、キャラクターを作り、フリとウケをつなぎ、視線を導く。その一つひとつを人が判断することで、生成された絵が「読まれる漫画」へ変わります。

MONOHA WORKSでは、AIやITだけでなく、商品・サービス、採用、研修、金融、環境など、伝わりにくい内容を漫画へ整理する制作に取り組んでいます。

「この内容も漫画にできる?」という段階からでも、一緒に伝え方を考えられます。

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レミー
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